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せんきゅうひゃくにじゅうしちねんはちがつより
一九二七年八月より
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,969 字 · 9 页
○能動的な立場のものは 自分によってあのように燃え 情を発し、夢中になるものが可愛く 何も云えず牽きつけられる。自分に向って来る体のすべてが可愛く、触覚に訴えられたすべてを味い、知って居る。――故に女より女の美しさは男が知って居る 美しい女は男が描く。
○女は、男を愛しつつ、男が女を味うように男を味うことは尠い。圧倒される形だから。例えば顔にしろ、男は観る、女は見ないのが普通。一定の感覚にだけ全心の注意をあつめる。故に美感にとぼし。性慾を芸術にまでたかめ得ず
○女に恋着あって、対手を何も云えずいつくしんで見るようになる男の心持ない わけ。
〔欄外に〕
翌朝、何か一種揺蕩たるややエロティックな感じあり。対手を見なおす心持、何か他人でないような気持がする。
いとしさのようなもの、或いやさもあり。
〔一九二八年〕二月三日 モスクワ
午後三時半頃日沈、溶鉱炉から火玉をふき上げたような赤い太陽(円く、大きく)光輪のない北極的太陽 雪のある家々の上にあり 細い煙筒の煙がその赤い太陽に吹き上げて居た。
五時すぎ
モスクワの町を、月が照す。モスクの金のドームを照す。