轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いったとはは

一太と母

宮本 百合子

「女性」1927(昭和2)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,507 字 · 21 页

青空文庫

「さあもう一っ稼ぎだ」

また風呂敷包を両手に下げた引かけ帯の見窄しい母親と並んで、一太は一層商売を心得た風に歩き出す。彼は活溌に左右に眼を配って、若い細君でも出て来そうな家を物色した。一太も母同様、玉子を沢山売りたいと思った。玉子は納豆よりずっと儲があったから、よく売れると帰りに一太は橋詰の支那ソバを奢って貰えた。玉子をどっさり売って出て来るとき何だかいい気持を一太に与えた。一寸背が高くなったような心持だ。

歩くのは天気の好い日に限っていたから、道々一太は種々のものを見た。閑静な午後の屋敷町に大きな石の門があった。犬箱が日向にあって、八ツ手の下に、立ったら一太より勿論大きい斑の洋犬が四つ肢を伸して眠っていた。一太は、立派な大人の男みたいな洋犬を綺麗だと思い、こわいと思い、恍惚した。

「おっかちゃん、あんな犬玉子食うかい?」

母は、横眼で門の中を見たぎり、

「さあどうだか」

と考え考えいった。一太は素足だから、べたべた草履が踵を打つ音をさせながら歩いた。

「ね、おっかちゃん、あんな家却って駄目なんだよ。女中の奴がね、いきなりいりませんて断っちまやがるよ」

一太が賢そうな声を潜めて母に教えた。