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いっぽんのぎんのはり
一本の銀の針
小川 未明
「少年倶楽部」1927(昭和2)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,687 字 · 10 页
おじいさんは、大事なせがれが海で死んでから、どうしても孫を船乗りにさせようとは思いませんでした。
「海の王さま」と、おじいさんが、みんなからいわれたということを聞くと、兄は、どうかして自分も船乗りの名人になりたいものだと考えたのです。
「僕は、どうしてもおじいさんにお願いして、船乗りにしてもらいたい。」と、兄は、妹に向かっていいました。
「兄さんが、海へいってしまわれたら、私はどんなに寂しいかしれない。」と、妹は、はや涙ぐんで答えました。
妹に対して、やさしかった兄は、なぐさめるように、
「あの遠い海のあちらには、不思議な島があって、そこへゆけば、いろいろの珍しいものがあるというから、それをお土産に持ってきてあげよう。」といいました。
妹は、おじいさんからも、その不思議な島の話を聞いていました。海の中にすんでいる獣の牙や、金色をした鳥の卵や、香水の取れる草や、夜になるといい声を出して、唄をうたう貝などがあるということを聞いていましたから、
「兄さん、私に、金色の鳥の卵と、夜になると唄を歌う貝を、お土産にかならず持ってきてください。」と頼みました。
金色の卵は、鶏にあたためさして、美しい鳥にかえさせようと思ったからです。