轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いっとう

一灯

太宰 治

太宰治回忆八年前被哥哥臭骂差点毕不了业,但他说要点亮“贫者一灯”。故事从挨批开始,却暖得让人想哭。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,052 字 · 7 页

青空文庫

」と強がったのである。

「そうでしょうか。」

「そうかなあ。」嫂も、私も、てんで信用しなかった。

「泣きませんでした。」兄は、笑いながら主張した。

その兄が、いま、そっと眼鏡をはずしたのである。私は噴き出しそうなのを怺えて、顔をそむけ、見ない振りをした。

兄は、京橋の手前で、自動車から降りた。

銀座は、たいへんな人出であった。逢う人、逢う人、みんなにこにこ笑っている。

「よかった。日本は、もう、これでいいのだよ。よかった。」と兄は、ほとんど一歩毎に呟いて、ひとり首肯き、先刻の怒りは、残りなく失念してしまっている様子であった。ずるい弟は、全く蘇生の思いで、その兄の後を、足が地につかぬ感じで、ぴょんぴょん附いて歩いた。

A新聞社の前では、大勢の人が立ちどまり、ちらちら光って走る電光ニュウスの片仮名を一字一字、小さい声をたてて読んでいる。兄も、私も、その人ごみのうしろに永いこと立ちどまり、繰り返し繰り返し綴られる同じ文章を、何度でも飽きずに読むのである。

とうとう兄は、銀座裏の、おでんやに入った。兄は私にも酒を、すすめた。

「よかった。これで、もう、いいのだ。」