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さんりょうせいべえとめいばあさづき

三両清兵衛と名馬朝月

安藤 盛

「少年倶楽部」講談社、1931(昭和6)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,144 字 · 17 页

青空文庫

相手はぱっととびのきざま、横にはらった一刀で、清兵衛のひざがしらを一寸ばかりきった。

「あっ!」

中心を失った清兵衛は、もんどり打って馬から落ちた。とたんに二の太刀、

「えい」

と、清兵衛のかぶった椎形の兜の八幡座をきったが兜がよかったので、傷は受けなかったものの、六尺の大男の一げきに、ズーンとこたえ、目はくらくらとくらみ、思わずひざをついたところを、また明兵が一げき加えようとすると、ぱっと空をおどり、その敵におどりかかったのは朝月であった。

「おお」

気をのまれた明兵は、横にとびのいた。そのすきに立ち上がった清兵衛。

「まいれ」

ときりかかった。

朝月は畜生ながら、主人の恩を知っていた。清兵衛が立ち上がったとみて、うれしそうにいななき、明兵のうしろにかけまわって、すきがあらばとびかかろうとする。

「お、お、おッ」

明兵もおどろいた。前後に人馬の敵を受けたので必死。清兵衛は朝月の助太刀に力を得て、

「えいッ」

と、最後の突撃。さアッと太刀を横にうちふると、その太刀さきは、敵の左頬から右眼にかけ、骨をくだいて切りわったので、

「ああッ」

と、明兵はあおむけに、打ちたおれたところを、起こしも立てず、その胸にいなごのように、とびかかった清兵衛は、