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さんにんのそうせいじ
三人の双生児
海野 十三
「新青年」1934(昭和9)年9、10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,806 字 · 87 页
「海盤車娘って、あんたの身体になにか異ったところでもあるんですか」
と妾はゾクゾクしながら尋ねたのだった。
「それは異状があれば有るといえるのでしょう。でも結局は興行師の無理なこじつけでした。それで見物の衆はインチキ見世物を見せられたことになると思うのですが、実は僕の背の左側に楕円形の大きな瘢痕があるんです。そして僕がその瘢痕を動かそうとすると、その瘢痕は赤く膨れて背中よりも五六分隆起して上下左右思うままにピクピクと動くのです。ですからどうかすると、むかし僕の背中には一本の腕が生えていたのを、その附け根から切断したために、跡が瘢痕になっているようにも見えるのでした。見世物になるときは、そこにゴム製の長い触手をつけ、それを本当の腕であるかのように動かすのでした。つまり僕は二本の脚と三本の腕とを持っているので、丁度五本の腕の海盤車の化け物だというのです。いかがです。もしお望みでしたら、今此所でその気味の悪い瘢痕をごらんに入れてもようございます」
「まあ、ちょっと待ってちょうだい――」
出されてはたいへんなので、思わず妾は悲鳴にちかい声をあげた。なんといういやらしい男があったものであろう。