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さんにんのそうせいじ

三人の双生児

海野 十三

「新青年」1934(昭和9)年9、10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,806 字 · 87 页

青空文庫

そして是非泊っていって下さいネ。昔話を沢山したいわ。妾もいろいろ伺いたいことがあるのよ」

丁度、妹の静枝は、少し身体を壊している女探偵速水女史に附き添わせて、奥伊豆の温泉にやってあるので、家の中はキヨと二人切りだったので、貞雄を泊らせるには一向差支えなかった。

「いや泊ることだけは断る。僕はこれで、ひとの家にお客なんかになっては中々睡れない性分なのでネ。それにチャンとホテルに部屋をとってあるのだから、心配はいらないよ」

「いいから、ぜひお泊りなさいよ」

「いやいや断る。――」

小さいときもこんな性分だったが、とにかく今の貞雄は学者だけあってなかなか頑固であった。妾は近くから珍らしい料理を狩りあつめて貞雄を饗応しながら、この機会に妾の悩みを打ちあけて、力になって貰おうと思った。

まず妾は貞雄に向い、あの立葵の咲く家の座敷牢の中に寝ていた妾の同胞を探したいという気になって新聞広告をしたことから始めて、静枝や真一などが現れるに至ったまでの話を詳しくして、もしや彼が、妾の同胞を知らないかと尋ねた。

「どうも小さい折のことで、僕はよく覚えていないけれど、いつか夜、父が子供を連れて来たことを覚えている。