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さんにんのそうせいじ

三人の双生児

海野 十三

「新青年」1934(昭和9)年9、10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,806 字 · 87 页

青空文庫

僕はその顔をみたわけではないが、二階に上げた子供がヒイヒイと泣いているのを聞きつけた。それが君のいう座敷牢の中にいた同胞だろうと思うが、泣き声から想像すると、二人のようでもあったがネ」

「ええなんですって、連れられていったのは二人だったんですって、まア、――」

妾は想像していたところと、まるで、違ってきたので、呆然としてしまった。向うが二人だとすると、妾を入れて三人になるではないか。すると双生児と称ぶのはいかがなものであろう。それを貞雄に云ってみると、

「幼いときのことだから、ハッキリしたことが分らないんだ。それに父の常造も先年死んでしまったし、母はもっと前に死んでいた。今、安宅村へ行っても、その夜のことや、君の同胞の秘密について知っている人は一人もあるまい」

「そうでしょうか。――」

妾はガッカリしてしまった。その様子を見ていた貞雄は気の毒に思ったのであろう。すこし厳とした声で、

「でも君の知りたいと思っていることは、絶対に分らないというわけではあるまい。つまりそれは学問の力によることだ。もし君が欲するならば、僕はいかなる手段によってでもその答を探し出してあげようと思う。