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さんにんのそうせいじ
三人の双生児
海野 十三
「新青年」1934(昭和9)年9、10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,806 字 · 87 页
貞雄が抱いている疑惑の点を、妾はすぐに察することが出来た。彼は真一の死を中毒死だと思っているのだ。それは貞雄があの部屋の中で口にしたと思われるその水壜の中に一切の秘密があると云うらしい。
「そんなものは、その場で始末してしまったから、有る筈はなくてよ」と云ったものの、よく考えてみると、妾はあの夜離座敷を大急ぎで片づけたことを思い出した。あのとき部屋の中の品物を仕舞ったトランク類はその儘土蔵の奥深く隠してしまって、その後は一度も開いたことがないのであったが、ひょっとするとそのトランクの中に、なにか当時の隠れた事実を証明するようなものが入っていないとも云えないと思う。そう考えた妾は、恥かしいけれど一切のことを貞雄の前にさらけだした。
「ああそんなものがあるのなら、一度出して検べてみたらどうだネ」
流石に医者である彼は、変態的な妾の生活など嗤う様子もなく、真面目に聞いて呉れたのだった。だから妾はすぐさまそのトランクを開いてみる決心をして、貞雄を案内して黴臭い土蔵の中に入っていったのであった。
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貞雄の云ったことは正に図星だった。
妾たちはトランクを一つ一つ開いてゆくうちに、その一つの中に、あの夜真一が水を飲むに使った大きいコップを発見した。