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さんにんのそうせいじ

三人の双生児

海野 十三

「新青年」1934(昭和9)年9、10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,806 字 · 87 页

青空文庫

さ、そういうと不思議がるかも知れないが、君はこんなことを知っているだろう。膣内の精虫の多くはその日のうちに死んでしまうけれど、中には二週間たっても生存しているものもあるということを。だからここに二卵性の双生児が出来たとしても、それが同一日に発射された精虫によるとは限らないのだ。そういえばもう分っただろうが、僕の父の赤沢常造の精虫が発射されたその数日か十数日か後に、真一君の父親が船から下りて来てまた精虫を発射する。このとき偶然にも二人の精虫が、君の母親の二つの卵に取りついてこの二卵性双生児が出来上ったのだ。それで合点がゆくことと思うが、君と僕とが、戸籍の上では赤の他人でありながら、実は二人は父親を同じくする異母兄妹なのだ。だから君と僕とが、兄妹のように似ていることが肯かれるだろう」

妾はあまりの奇怪なる話に、気が遠くなるほど駭いた。話は分るけれど、そんな不思議なことが吾が身の上に在るとは、なんという呪わしいことだろう。それにどんなにか慕わしく思っていた貞雄が、血を別けた兄妹であったとは、なんという悲しいことだろう。

「君の愕くのは尤もだが、まだまだ愕くべきことが控えているのだよ。