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さんじゅうねんごのせかい

三十年後の世界

海野 十三

「少年読売」1948(昭和23)年3~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页

青空文庫

女史は、そう答えた。

「へえーツ。そんな大きな宇宙塵があるのですか」

「大きさが富士山くらいある宇宙塵は決して少なくないと、今まで知られています」

「富士山くらいですか。そんな大きなものも、塵とよぶのですか」

「宇宙の塵だから、大きいのですよ」

「そんな大きな塵にぶっつかられたら、本艇なんかひとたまりもなくこわれてしまうじゃありませんか」

「そうですとも。幸いにも、さっき本艇に衝突したのは、小さい岩くらいのものだったのでしょう。あ、信号灯がついた。わたしをよび出しています。めんどうな仕事がはじまるのでしょう。あなたも早く、消火区へ行ってお働きなさい」

スミレ女史は正吉にそういって、受話器を頭にかけた。

火星に着陸

正吉は、中部消火区へ急いだ。

もうみんな集まっていた。

なるほど燃料倉庫の一つから、ものすごく火をふきだしている。

きいてみると、やっぱりスミレ女史のいったとおり、宇宙塵のでかいやつが衝突して発火したのだという。

「火事は消せますか。本艇は爆発しませんか」

正吉は心配のあまり、消火区長として指揮をとっているトモダ学士にたずねた。

「火事はなんとか片づくと思うがね。