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さんじゅうねんごのせかい
三十年後の世界
海野 十三
「少年読売」1948(昭和23)年3~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页
しかし困ったのは宇宙塵が本艇にぶつかって横腹へあけた大穴の始末だ。そこからどんどん艇内の空気がもれてしまうんだ。そうなると本艇が貯えている酸素をどんどん放出しなくてはならない。困ったよ」
トモダ学士は、頭を左右にふる。
「このへんに気密扉があるでしょう。その扉をおろして、空気が外へもれないようにしたらいいでしょう」
正吉は、意見をのべた。気密扉というのは艇内が小さな区画に分かれていて、その境のところに、下りるようになっている扉だ。それを下ろすと空気は通わない。だから気密扉を下ろして空気が外へもれることは防げるわけだと、正吉は考えたのだ。
「それは正しい考えだ。しかしねえ正吉君、不幸なことに、さっきの宇宙扉の衝突で、こっち例の気密扉を下ろすモーターの配線が切断してしまってね、かんじんの気密扉が下りなくなったのだよ」
どこまで運がわるいのだろうと、正吉は失望した。しかしよく考えてみる。それは運がわるいのではなくて、そういう場合も考えにいれてこのロケット宇宙艇の設計をしておかねばならなかったのではなかろうか。つまり設計の不完全だ。失敗だ。いく隻もロケット宇宙艇をこしらえても、完全なそれをこしらえ上げるには、技師たちはまだ勉強をしなくてはならないのだろう。