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さんじゅうねんごのせかい
三十年後の世界
海野 十三
「少年読売」1948(昭和23)年3~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页
それならキンちゃんにまかせるのが一番いいですよ」
キンちゃんが呼ばれた。そしてカンノ博士の話が伝えられた。キンちゃんは、
「おっと、そのことなら合点だ。あっしにすっかりまかせておきなさい」
キンちゃんは、それから料理部屋へかけこむと、バックにいっぱい食べ物をつめて、提げて出て来た。
そこで一行は、例の池へ出かけた。
正吉とキンちゃんの組と、カンノ博士とスミレ女史との組に分れ、仕事にかかった。正吉とキンちゃんとは、おそるおそる池のそばへ近よって、怪魚のごきげんをとりむすぶのであった。キンちゃんの持って来た食べ物は、怪魚たちをよろこばせた。ことに、ソーダ、クラッカーは、怪魚たちをよろこばせた。ソーダ、クラッカーをなげるたびに、数百ぴきの怪魚たちは水面から宙にはねあがり、落ちてくるクラッカーを途中で自分の口に入れようと争った。そのときに初めて怪魚の全身を見ることができた。それは、じつに怪奇というかグロテスクというか、すさまじい格好と色合のものであった。全長は一メートルよりすこし長いくらいで太短かい。上半身は大きいが、下半身が発達していない。皮膚の色はうす桃色と緑色とのまだらで、腹部は白かった。