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さんじゅうねんごのせかい

三十年後の世界

海野 十三

「少年読売」1948(昭和23)年3~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,140 字 · 137 页

青空文庫

気が変になるよ」

「あッ、そうか。君は窓から外を見たんだね。艇長に叱られるよ」

正吉はそういったが、見ると窓のおおいが破れている。キンちゃんが破ったものだろう。正吉は急に外が見たくなった。

「正ちゃん、およしよ。だめだ、外を見ちゃ……」

と、キンちゃんがとめるのにもかまわず、正吉は、とうとう窓から外を見た。

「あッ、あれは……」

正吉の肩が大きく波打っている。顔は、まっさおだ。

正吉は何を見たか。

大きなビルを四、五十あつめたくらいの大きさの、まんまるい黄色に光る球を見たのであった。

それは地球だ。地球だった。

地球の大きな球が、空間に、つっかえ棒もなしにいるところは凄いというか、恐ろしいというか、艇長が外を見るなと命令したわけが、やっと分った。

偵察ロケット

七日以後は窓もひらかれ、外をのぞいてもさしつかえないことになった。そのころ地球は、ずっと形が小さくなり、小山ぐらいの大きさとなったので、恐ろしさが減った。もうあれを見て発狂したり、気絶する者もなかろう。

地球は小さくなったが、いよいよ光をまして白く輝く大陸の輪郭もよく見える。しかし球という感じがだんだんなくなって、平面のような感じにかわっていった。