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さんじゅうねんごのとうきょう
三十年後の東京
海野 十三
「少年読売」1947(昭和22)年10~12月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 13,731 字 · 28 页
万年雪とける
昭和五十二年の夏は、たいへん暑かった。
ことに七月二十四日から一週間の暑さときたら、まったく話にならないほどの暑さだった。
涼しいはずの信州や上越の山国地方においてさえ、夜は雨戸をあけていないと、ねむられないほどの暑くるしさだった。東京なんかでは、とても暑くて地上に出ていられなくて、都民はほとんどみんな地下街に下りて、その一週間をくらしたほどだった。
ものすごい暑さは日本アルプスの深い山の中を別あつかいにはしなかった。アルプス山中の万年雪までがどんどんとけ出した。雪渓の上を、しぶきをあげて流れ下る滝とも川ともつかないものが出来、積雪はどんどんやせていった。
うばガ谷の万年雪のことは、むかしから一番面積のひろいものとして、よく人に知られていた。それはまるで氷河のようにこちこちに固まった古い雪であったが、それさえこんどの暑さで両側からとけだし、日に日にやせていった。登山者たちがおどろいたのもむりではない。
「こんなところに流れがあったかね」
「いや、知らないね。地図でみると、どうしてもここは、うばガ谷のはずなんだが?」
「でも、へんよ。