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さんあくにんものがたり

三悪人物語

山本 周五郎

忍術千一夜 第二話

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,990 字 · 58 页

青空文庫

などと云っている。

「離れるなよ、もうちっとの辛抱だ、元気をだせ」

そして狭い小屋の中をぐるぐる廻っている。八百助はにこっと笑い、晴れあがった空を眺めながらゆったりと通り過ぎた。

彼が佐貝へ来て三十日ほどたつ、すでにこの市の不正と偽瞞と悪徳の所在を調べ、飢と寒さと物資欠乏に泣く市民の実情を知った。一方ではかの下僕出来六をここへ追い込み、贋金作りの闇七にも必要な位置を与えた。――かの下松における成木持助の出現のごとく、ここでもまた彼は重要な役割を果たすに違いない。さて、八百助はまず両替商持木屋成助の店へ立ち寄った。

「なに玉村の若旦那だって」

成助はとび上がった、八百助はここではそう呼ばれているらしい、成助にとっては伝説的な恩人、黄金的条件の金主である、彼は店へとびだしていった、

「これはこれは玉村の若旦那ようこそ、昨夜はとうとう誰が袖へおみえになりませんでしたな」

「いったよ」

八百助は奥へ通りながら、

「いったけれど、お杉につかまってね、離れへつれ込まれてどうしても放さないものだから、それで今朝は早く来たというわけさ、用というのはなんだい」

七

「ふむ、あと二十箱ね」