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さぶろうじい
三郎爺
宮本 百合子
「東京日日新聞」1918(大正7)1月5日~17日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,866 字 · 50 页
それ故、ある意味に於ては、他律的にも彼は「竹をわったような」男になり、一度頼んだら大丈夫な三郎どんにならなければならない。
この周囲の状況と、彼の何者にも負かされる心配のない腕力と、天性授けられている大まかな、こせつかない心持ちとが、どうしても彼を侠客のようなものにせずには置かなかった。
従って、他の百姓、大工とはどこか違った生活が――たとえば、物争いに鳧(けり)がついた祝酒や、振舞や、近所の村のそういう仲間との交際――目に見えなく彼の地味さを失わせて行った。
金銭のことなどについても、そうは焦慮せず、入るものは入るがいい、出るものなら勝手に出ろといった調子だし、他の者のような追従や世辞は一言も云わない。思ったままを、浮んだなりの言葉で云う。
それに対して、人があまりかれこれ云わないことが、彼の美点――自分をちっとも被わない。ありのままで暮すすべての心持を助長するとともに、或る一部からの反感を免れなかった。
六
もの堅い一方の、大きな声も出せない者から見れば、彼は恐ろしい無遠慮なものである。わがもの顔にふるまう奴に見える。何でもつけつけと、赤面しようが、冷汗をかこうが、お構いなしに真正面から遣り込める。