轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

さぶろうじい

三郎爺

宮本 百合子

「東京日日新聞」1918(大正7)1月5日~17日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,866 字 · 50 页

青空文庫

勢力の過信は明かである。

けれども、いくら彼が大きく拡がっていても、無遠慮ではあっても、一言山沢さんに、

「オイ三郎、きっと頼んだぞ」

と云われさえすると、ほとんど絶対的服従をしなければいられないものが、彼の胸の中にあった。

山沢さんが自分の持つ信頼に就て、一言も説明しなかった通り、彼も自分の中にある主人へのその心持を、ただの一度も説明したことはない。

もう二十年近く前に死んだその人の噂を、彼は今もよくする。

旦那様という代名詞こそ使え、言葉なり批評なりは、弟か、従弟のことででもあるように、自由な、心の望むままの形式で話す。悪口を云いながら、わがままをしながら、山沢の旦那様には、命も惜まない愛情を彼は感じていたのである。

七

彼の山沢さんに対する愛情は、相手が山沢さんだからというのでもないし、主人と使われる者との間にはとかくありがちな、因縁ずくの諦めなどでは、無論ない。

彼自身、自覚したかしないかは分らないが、堅い言葉でいえば、「己を知る者のために死す」心持が、彼と山沢さんとの間に、靄然(あいぜん)として立ち罩(こ)めていたのである。

彼の強情を理解し、制御するだけの強情は自分も持ち、長所に依って彼の欠点を寛恕(かんじょ)して行くだけの力を持っていた山沢さんを見出したことは、彼にとってほんとに