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さぶろうじい

三郎爺

宮本 百合子

「東京日日新聞」1918(大正7)1月5日~17日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,866 字 · 50 页

青空文庫

口も利けないようになった女房は、片方だけ草履を引かけたまま、大きな彼の体の傍にまるでお根附けのようにして、家まで引っぱられて駈けて来たのである。

息をはあはあ弾ませながら、ブルブルする手で湯を飲む女房を眺めながら、煙草に火をつけた彼は、このことについて、一言の説明もしない。女房もまた、聞こうともしなければ、戻って行こうともしない。

二人はまた翌日から、鳥屋(とや)と共同の小屋の中で、貧乏な日を一緒に迎え始めたのである。

そして、二人とも中気のようになった今日も、婿から貰う五合の米を分け合い、互の微かな稼ぎで、お互に潤し合いながら暮している。

底本:「宮本百合子全集 第一巻」新日本出版社

1979(昭和54)年4月20日初版発行

1986(昭和61)年3月20日第5刷発行

底本の親本:「宮本百合子全集 第一巻」河出書房

1951(昭和26)年6月発行

入力:柴田卓治

校正:原田頌子

ファイル作成:野口英司

2002年1月2日公開

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