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ふざいじぬし
不在地主
小林 多喜二
一~十一、十六「中央公論」1929(昭和4)年11月号、十二~十五(「戦い」の表題で。)「戦記」1929(昭和4)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 69,990 字 · 141 页
(小樽新聞) 悲痛な決心のもとに来樽した妻君達は、直ちに岸野宅におもむき夫人に面会を求めたが、病気の故で、遂に面会出来ないとの返事に対し、妻君達は、家の何処でもいいから寝かせて頂いて毎日でも待って居ります、と云ったが、一応争議団本部に引き上げることになった。子供達は久し振りで父親の顔を見たので、父さん、父さんと呼んで、抱かるるなど、一種の劇的場面があった。
妻君連は更に二十一日岸野氏宅に至り面会を求めるところがあった。
婦人争議団の一人伴君の女房語る。――私達は岸野様の奥様に面会して、農場を開くに苦心した当時の有様を詳しくお話し、そして今どんなに惨めな暮しをしているか申上げたいと思ったのです。ところが、岸野の御主人様は私共に「小樽に面白おかしく出て来たのか?――どの面さげて小樽に出てきたんだ。」とか、「真人間になって出直して来い。」とか云われました。――真人間になれッて、どんな事かチットモ私共には分りません。
然し、女なら女同志、この苦しいことが分って頂けると思って、ようやく奥様にお会い出来て、お話しました。どうでしょう! ところが!
「お前達の顔も見たくない!」