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ふしぎなるくうかんだんそう
不思議なる空間断層
海野 十三
「ぷろふいる」1935(昭和10)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,651 字 · 30 页
顔色だってこんなに青白いんではない、赤銅色に赭いとでもいうか。顔の寸法も、もっと長く、鼻はきりりとひきしまり、口もたいへんに大きくて、そして眼光なんか、実にもう生々としているのだ。その上に、頭髪なんども、毛がふさふさとしていて立派だし、それに勇ましい髭なんか生やしているんだ。――その豪そうな顔の男が夢の中の乃公なのさ。どうだ、随分と不思議な話だろう。だから乃公はどうかすると変なことを考えるんだ。あの夢に見る町や人々がどこかにチャンと実在するのじゃないか。乃公の魂は一つだけれど、顔の違った二つの肉体を持っているのじゃないか、などとね。ああ君は乃公の夢の話を軽蔑しているね。君の顔色で、そう思っているってことがよく判るよ。じゃあ、乃公はもっと不思議な恐ろしい話を聞かせてあげるよ、すくなくとも君の鼻の頭に浮んでいる笑いの小皺が消えてしまうほどの話をね。それは最近乃公が経験したばかりの実話なんだぜ)
1
或る日、一つの夢を見た。
乃公は長い廊下を歩いていた。不思議なことに、窓が一つもない廊下なんだ。天井も壁もすべて黄色でね、とても大変長いのだ、両側には、一定の間隔を置いて、同じような形をしたドーアが並んでいた。