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ふしぎなるくうかんだんそう
不思議なる空間断層
海野 十三
「ぷろふいる」1935(昭和10)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,651 字 · 30 页
とひとりぎめをして杉浦氏はまた語をついだ。
「いいかね、まだまだ不審なことを並べてみるよ。第一、あの部屋を何と思う。実に変な部屋ではないか。奥に入ると、髪床にあるような大きな鏡が壁を蔽っていたり、変に印象的な赤い絨毯があったり、それから椅子セットの単純な色合といい、配置といい、また花についてでもそれを云うことが出来る。一体人の住む部屋ならば、もっとこまごましたものがあるべきだが、それが見当らないし、なにしろ単純で印象的で、一度見ると、二度と忘れないようにできている。魔術師が特に設計したようなもので、部屋の形はしているが全然人間の住むに適せず、トリックのための部屋としか思われないではないか」
という。――なあに、夢の中のことだ、単純で印象的なのは当り前だと云ってやりたかったよ、乃公は。
「どうだ、いちいちお前の胸に思いあたることばかりだろう」と予審判事はいよいよ得意であった。
「それからまだあとに、実に大きな矛盾が残っているのだよ。お前がはじめに見た夢の中で、たいへん恐怖を感じた場面のあったのを覚えているだろう。実は、あのことだ。お前はピストルを手にして、鏡の中の自分の姿を見た。