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せだいのかち

世代の価値

宮本 百合子

世界と日本の文化史の知識

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,036 字 · 20 页

青空文庫

女は昔からよく大地に譬えられて来ている。それは、女が母となって人間の世代を絶やさぬ豊かな土壌であるというところから云われるのであろうし、また、大地は一応うけ身におかれているということからでもあるだろう。大地の歴史は、人間の出現とその人間たちの大地への働きかけが始まった日から始まるのであるから。

昨日から今日を生きて明日を生む歴史の担いてとして、女はこれまで随分生物的にばかりその任務を果してきたと思う。人間のこの社会への誕生は偶然であるがやがてその存在の価値は必然にかわってゆくという意味ふかい歴史の発展へのかかわりを、女のひとは、娘から妻となり母となってゆくという生理の過程を中軸にして辿ってきていたと思える。愛の展開も従って本能的に行われて、女の母性的な愛の本質は非常に豊かに潤沢なものである筈なのに、女の歴史のくりひろげられる場面がそれぞれの家庭という墻の内に限られていたとおり、愛の作用まで無意識の狭さを与えられた。女は愛情ふかいものとされながら、その愛は主観的で、身のまわりだけに没頭の形をとって来たのであった。

現代は、世界史が一つの画期をつくり出しつつある時代で、その中での日本も未曾有の複雑な転回を示している。