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せかいへいわのすうせい

世界平和の趨勢

大隈 重信

「太陽 臨時増刊 第十七卷第十五號 戰爭歟平和歟」博文館、1911(明治44)年11月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,746 字 · 14 页

青空文庫

独逸が欧州列強の陸軍競争の先駆者たることかくの如くである上に、近年に至っては更に海軍競争の先駆者たるに至った。即ち独逸の現皇帝ウィルヘルム二世陛下は、独逸人は世界的に発達するを要すとなし、而して世界的に発達するがためには、まず海洋を征服して殖民地を略取し、独逸国旗の下に独逸人の勢力伸張を図らざるべからずとし、今や英国の海軍と拮抗するの大海軍を建設せんがためにこれ日も足らざるの有様である。カイゼルの意気込の壮んなることは実に非常なもので、過般ハンブルグに於てなせる演説の一節にも、驚く勿れ、我が幼稚なる祖国の貿易が盛況を呈し来って、世界のある国々に花を咲かせたるを。朕は惟う、競争は商業上にも必要なることを。然り、競争は国家にも国民にも必要にして、互いに相促進して新勢力を与うるものなり。例えば競馬に於ても第一の騎者がすでに勝利を得べく自らも信じ見物人も思う時、左右より驀地に追い付き来って三人競争となり、火花を散らして駆け来る中、一人が鞭を挙げて打ちたりとせよ。そは対手の馬を打ちたるに非ず、己が馬に鞭ちて促進せるなり。かくの如く国民間にも鞭韃の必要あり。