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アリゾナのめとら

世界怪奇実話II

牧 逸馬

牧逸馬『世界怪奇実話II』。同一底本的分册已合并为一书。收入:アリゾナの女虎、沈黙の水平線。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,877 字 · 91 页

青空文庫

あまりにグロで風壊の恐れがあるので、公表されなかったものだろう。

「正当防衛か、或いは瞬間の発狂というようなことで、あなたは、自分の罪を軽くしようとしていますね。死人に口無しだ。サミイが先に発砲したなんて、他に証明のしようのないことじゃないですか」

ルウスはにこにこ笑っていて、何とも答えなかった。

共犯はなかった模様だが、あの犯行の翌日、彼女がグルノウ療養院に現れた時、左手に怪我などしていなかったということで、これにはアリゾナから証人が呼ばれたりなど、大問題になったが、結局、痛みを隠して繃帯をしていなかった為めに、誰も気が付かなかったのだろうということだった。トランクは自宅にあったのを、フランク・シュワルツという運送屋に頼んで、兇行の現場まで運ばせ、其処でアンの死骸と、ばらばらに料理したサミイの屍体とを詰め込んで、出発の夕方、自宅東ブリル街一一三〇番地の家主ハルナンに頼んで、停車場まで運んで貰ったのである。サミイの胴の中央部だけはスウツケイスに、入れて、手荷物として自分と一緒に羅府へ持って行ったことは前に言った。フォニックスから羅府までの車中、彼女の世話をした列車ボウイ、グリムも、そのトランクを認めたと言い、また、決して、ボウイにも其の鞄に手を触れさせなかったと、交番で述べた。