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りょうりん
両輪
宮本 百合子
創造と評論活動の問題
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,550 字 · 17 页
日本にプロレタリア文学運動がおこって、文学の価値評価の客観的な基準の問題がとりあげられるまで、日本の文芸批評は、ほとんどすべて批評するものの主観による印象批評であった。一人の若い婦人作家が、少しずつ作品をかきはじめたようなとき「臍のあかでもほじっているがいい」というふうにいわれた場合、批評と創作活動とのおかれる関係は、だいたい想像される。その時分、すべての作家は里見※(「弓+享」、第3水準1-84-22)がそのころいっていたように批評を無視する態度をとった。本心において批評を気にしないわけではないが、それを気にしていたら、一つの小説もかけないような工合だった。一人一人の批評する人が、てんでのうけとりかたばかりに立って、内在的な心理や感受性にしたがって感想をのべ、注文するのであったから。
プロレタリア文学運動の初期に、平林初之輔によって外在批評の提唱がされ、だんだん客観的・科学的な評価の基準が究明されていった。一九三三年プロレタリア文学運動がまったく抑圧されてしまうころ、まだ日本の進歩的な文学における評価の基準は、しんから確立しきっていなかった。