轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ちゅうよう

中庸

坂口 安吾

「群像 第八巻第六号」1953(昭和28)年6月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,104 字 · 33 页

青空文庫

翌日余が出勤を渋っていると、羽生がわざわざ迎えに来た。役場へでてきて、村長の席に大きな顔をしておさまっていてもらわないと始末がつかないからと云って、手をひくようにして連れだした。

「彼らにとっては自分の損ほど天下の大事はないのです。世のため人のために一文といえども投げだすことを知らないのです」

羽生の怒りはつきなかった。

彼がかく心境の変化を来したのには理由があった。彼が今回のいやがらせの発頭人であったため、いやがらせが思うように効を奏しなかった結果として仲間の批難が彼に集中した。

特に今回のいやがらせには相当の費用がかかっている。それは村の予算外のものであるから、仲間同志で負担する取り極めであった如くである。しかるに思うように奏効しなかったものだから、まず金の恨みが第一にきた。彼らの羽生への吊し上げは猛烈をきわめた由であるが、それは彼らが、費用の負担をまぬがれたい一念によるものの如くである。村の噂によれば、結局羽生が全額負担することになったという話であった。

思えば羽生も不思議な人物である。あるいは悲劇的な人物と申すべきかも知れぬ。村のためには手弁当で東奔西走しながら、報われること少く、また彼の意見が尊重されたこともない。