轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いぎょ
中谷宇吉郎集 第七巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第七巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:異魚、宇宙旅行の科学、科学と国境、塩の風趣、鳥井さんのことなど、若き日の思い出。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 54,841 字 · 111 页
北陸東北の片田舎では、一昔前までは、醤油が一つのぜいたく品であった。しょっつるは、醤油をぜいたくな調味料と考えるような、貧しい農山漁村の人たちのものなのである。そしてその人たちと少なくも数百年の間は、一緒に育ってきたものである。そういういわばいちばん粗末な塩汁の料理にも、りっぱに独特の風趣があり、それがしょっつるに、今日までの生命を持続させてきたのであろう。
しょっつるのあの少しえがらっぽいようなうら悲しい味は、粗塩を使うところからきているもののように、私には思われる。少なくもドーヴァーの塩を使ったら、ああいう味にはなるまい。しょっつるはそううまいものではないが、あのわびた味の底には、われわれの遠い祖先のためいきがある。そしてこの日本の国は、しょっつるをなめながら、激しい勤労をしていた、名もなき民の力によって、できあがってきたものである。
しょっつるにしても、うしおにしても、考えてみれば、魚の料理である。こういう魚の料理の場合に、粗塩のほうがかえってよくあう場合があるのは、ちょっとおもしろいことである。アミノ酸とマグネシウムとはうんぬんというようなこともあるのかもしれないが、海の魚には海の塩があうといっておいたほうが、余韻があるかもしれない。