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『せっかずせつ』のけんきゅう
中谷宇吉郎集 第二巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『雪華図説』の研究、『雪華図説』の研究後日譚、兎の耳、英国の物理学界と物理学者、温泉1、米粒の中の仏様、清々しさの研究の話、墨色、大謀網、長崎留学、鼠の湯治、民族的記憶の名残、室鰺、雪協議会の報告、真夏の日本海。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 83,098 字 · 172 页
長崎留学
維新の先覚者たちが、蘭学の勉強のために長崎へ行ったことは今更とり立てていい出すまでもないことであろう。しかしこの長崎留学の問題はよく考えて見ると、なかなか意味の深い示唆を与えてくれる問題であるように私には思われる。
一般にあの先覚者たちは、蘭学を学び西欧諸国の新知識を吸収して、維新の大業のある意味での基礎を作ったと考えられているようである。しかしわずかばかりの単語を通辞から教わったり、大変な苦労をして辞書のひき写しをしたりして得た外国語の知識そのものは大したものではなかったのであろうという気がする。例えば今の中学卒業程度の英語の知識と同じ程度の蘭語の知識でも、あのような状況の下では習得することはむつかしかっただろうと思われるのである。
ところで現今の中学卒業生の語学の力では、実際に外国の文化の吸収に役立つかというに、それは勿論全く「役に立たない」というのが一般の意見である。それで中等学校の外国語を全廃してしまえというような議論が出ている位である。しかしこの「役に立たない」というのは実は問題である。外国語の知識というものが全く単なる道具に過ぎないものならば、そのような意見が成り立つかも知れない。