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『せっかずせつ』のけんきゅう

中谷宇吉郎集 第二巻

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『雪華図説』の研究、『雪華図説』の研究後日譚、兎の耳、英国の物理学界と物理学者、温泉1、米粒の中の仏様、清々しさの研究の話、墨色、大謀網、長崎留学、鼠の湯治、民族的記憶の名残、室鰺、雪協議会の報告、真夏の日本海。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 83,098 字 · 172 页

青空文庫

鎌田昌長著『結夏随筆』によると、小野蘭山が、年代ははっきり分らないが、とにかく既に複式の顕微鏡を用いて、毎年雪華を観察して楽しんだということである。蘭山の雪華図というのは残っていないようであるが、多分これが我が国での雪華研究の最初の記録であろう。蘭山は享保十四年(一七二九)に生れ、『本草綱目啓蒙』四十八巻を以て有名である。歿年は文化七年(一八一〇)であるから、『雪華図説』の著者が、二十年来の研究を天保三年に刊行したとしても、その研究著手よりも数十年以前に、蘭山は雪華を複式の顕微鏡で覗いていたことになる。

この複式の顕微鏡が我が国に渡来したのは、いつであるかは分らない。しかし後藤光政の『紅毛談』(一七六五)に既に記載があり、その図解が『紅毛雑話』(一七八七)に載せられている。其の後享和二年(一八〇二)に至って、桂川甫周が幕命によって顕微鏡用法を述べている。鷹見泉石の記述「公事務ノ暇、雪ノ下ル毎ニ之ヲ審視スルコト、今春ニ至テ、幾ド二十年」というのによると、土井利位、或は泉石が初めて顕微鏡で雪華を観察したのは、一八一二年頃で、甫周が顕微鏡の用法を講述してから十年後くらいに当る。