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『せっかずせつ』のけんきゅう
中谷宇吉郎集 第二巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『雪華図説』の研究、『雪華図説』の研究後日譚、兎の耳、英国の物理学界と物理学者、温泉1、米粒の中の仏様、清々しさの研究の話、墨色、大謀網、長崎留学、鼠の湯治、民族的記憶の名残、室鰺、雪協議会の報告、真夏の日本海。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 83,098 字 · 172 页
ああいう非常に優れた仕事は、剣橋の郊外で仔猫の頭を撫でながら、ゆっくり時間をかけて本当に学問を楽しみながらやるのでなくては出てこないのではないかと思われたのである。あの書斎はわずか二回訪れただけであるが、妙に心に残っている。そしてわずかそれだけの機縁に過ぎないのに、その後日本へ帰ってした仕事を先生の所へ送ると、ちゃんと王立学会へ紹介して自分で校正まで全部して下さるので恐縮してしまうのであるが、これも単に親切というばかりではなくて、本当に学問を楽しむという気持の現われであろうと思っている。先生は一昨年引退して只今は郷里のスコットランドへ隠棲されている。功成り名遂げた晩年をあのハイランドで静かに送られるのもいかにも先生にふさわしいことのように思われる。
アストン博士は昨年の日食観測に北海道へこられたので、私はまる一週間上斜里のような僻陬の地で不自由な生活を共にしたという思わぬ機会に会ったのである。そしてあのいつも多少不機嫌そうな顔をしているむつかしい爺さんが、原子におけるダルトンと同格に、同位元素の名において科学史に不朽の名を残した所以を幾分窺い得たような気がした。