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『せっかずせつ』のけんきゅう
中谷宇吉郎集 第二巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『雪華図説』の研究、『雪華図説』の研究後日譚、兎の耳、英国の物理学界と物理学者、温泉1、米粒の中の仏様、清々しさの研究の話、墨色、大謀網、長崎留学、鼠の湯治、民族的記憶の名残、室鰺、雪協議会の報告、真夏の日本海。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 83,098 字 · 172 页
もっともそういうことになったら、燐寸製造家が困るし従ってその従業員などがどうなるかというような抗議が出るかも知れないが、北海道の奥地などであの立派な木がどんどん切り出されて行く光景を思ってみると、燐寸の場合はほんの一例であるが、とにかく材木を大切にすることが悪いことは決してないと思われる。十勝岳へ、ある仕事のために冬の最中に度々行ったことがあるが、その時山番の老人の木を大切にする話をきいて内心感心したことがある。一抱えも二抱えもある立派な木がどしどし切り出され、雪の中を馬橇で引かれて行くのを見送りながら、その老人は、寒国の針葉樹がいかに生長の遅いものであるかという話をしてくれた。ちょうど目の前にあった直径五寸位の椴松の若木の植林したものを指しながら、あれでも二十年位はかかっているのだからと嘆息するのであった。この老人の眼には、山奥の木の生命がまるで国家の生命のように見えるらしかった。内閣がどうなろうが、対英米問題がどうなろうが、この老人にとっては、雪に枝を垂れた針葉樹の密林が亭々として聳えている間は、日本の国は安泰だと思われるように見えた。
この老人にとっては、木というものがそれほど大切なものなのに、皮肉なことには材木を商売にしている人々にとっては木そのものはそれほど大切なものではないという話をきいて非常