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『ケプロン・くろだのこうそう』について

中谷宇吉郎集 第八巻

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第八巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『ケプロン・黒田の構想』について、桂浜、北国の春、金鱗湖、高度八十マイル、写真と暮らした三十年、寅彦の遺跡、南極・北極・熱帯の雪、百科事典美談、北海道開発に消えた八百億円、母性愛の蟹、娘の結婚、雪の化石2、六三制を活かす道、ピーター・パン。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,890 字 · 178 页

青空文庫

地理などが、その極端な例で、中南米の地理などになると、たいへんである。グァテマラだの、コスタリカだの、ニカラグァだの、ベネズエラだの、ウルグァイだの、という二十ばかりの国について、各々首府の名前、人口、地勢、物産などを、お経のように丸暗記しなければならない。夜中近くまで、五百頁近くもある部厚い教科書をかかえながら、目をつぶって、こういう妙な国だの町だのの名前を口ずさんでいるのを見ると、何だか世の中が三、四十年も逆戻りしたような気がする。私たちの中学時代には、三府四十三県にわたって、県庁所在地、人口、山の高さ、川の長さ、物産、その他を、試験の前日徹夜して暗誦したものであるが、ああいうやり方と、まるでそっくりなのである。

こういうことを、如何に上手に丸暗記しても、答案を出して、教室を一歩出た途端に、けろりと忘れて頭脳が爽快になってしまうことは、アメリカの教育者だって、十分承知しているにちがいない。そういう無駄なことを、原子力時代の今日まで、まだ固執しているのは、何か考えるところがあるからにちがいない。恐らく頭脳の訓練には、こういうこともまた必要と考えての上ではないかと思う。