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『ケプロン・くろだのこうそう』について

中谷宇吉郎集 第八巻

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第八巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『ケプロン・黒田の構想』について、桂浜、北国の春、金鱗湖、高度八十マイル、写真と暮らした三十年、寅彦の遺跡、南極・北極・熱帯の雪、百科事典美談、北海道開発に消えた八百億円、母性愛の蟹、娘の結婚、雪の化石2、六三制を活かす道、ピーター・パン。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,890 字 · 178 页

青空文庫

そのとおりであるが、それには理由があるのである。大学教育というものに対する考え方がまるでちがうので、学者をつくる気は初めからない。卒業したら、次の日から、あの厖大かつ複雑極まる、アメリカの生産、流通、経済の機構の中に、一つの歯車となって嵌めこまれても、すぐ役に立つ。そういう教育を施すのである。すなわち純粋な職業教育である。日本には、職業教育振興何々会というようなものがあるが、アメリカには、そういうものはまずない。大学教育が、すなわち職業教育であるからである。大学では、ケインズの理論を学び、卒業して銀行にはいると、お札をかぞえる、というふうなことは、アメリカ人の性に合わないらしい。

役に立つことを第一の目的とする。それが大学教育の本然の姿であるか否かは、別の問題である。ただ今日のアメリカの物質的繁栄に、こういう教育が、大いに役立っていることは、事実である。その反面、学者や研究者の養成には、この種の教育は不向きである。私の通っていた研究所でも、若い理学士を大分採用したが、機械の使い方は知っていても、研究に対する熱情や、自然への愛情は、あまり持っていないようであった。