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『ケプロン・くろだのこうそう』について
中谷宇吉郎集 第八巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第八巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『ケプロン・黒田の構想』について、桂浜、北国の春、金鱗湖、高度八十マイル、写真と暮らした三十年、寅彦の遺跡、南極・北極・熱帯の雪、百科事典美談、北海道開発に消えた八百億円、母性愛の蟹、娘の結婚、雪の化石2、六三制を活かす道、ピーター・パン。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,890 字 · 178 页
北海道の位置
エスキモー程度の生活は、敗戦前の日本にも、実はあったのである。ニセコの山で研究をしていた頃、働きに来ていた出面の人の家で赤ん坊が生れた。お祝に行った人の話では、入口の戸のかわりにむしろが垂れていて、産婦と赤ん坊とは、真裸で藁の中にねていたという。一枚切りの着物を汚さないためである。これは極端な例であるが、「藁と雑木の家」は即ち「氷の家」であり、「着た切りの着物」は「あざらしの皮」なのである。
選挙の演説だけが華々しく、本当の国民の姿は、エスキモーの生活水準に向っているというようなことのないことを祈る次第である。
北海道の位置
現在の日本における北海道の位置というものを、少し離れたところから考えてみるのも、ちょっと変っていて面白いかも知れない。
現在の日本における最大の問題は、再軍備の問題である。今度の総選挙でも、この点が論争の的になったことであろうし、今後憲法改正というようなことにでもなったら、それこそ大騒ぎになるであろう。
ところが、この再軍備の問題については、一番肝腎なことが、抜けている。あるいは第二義的に取り扱われている、というように思われて仕様がない。