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『ケプロン・くろだのこうそう』について

中谷宇吉郎集 第八巻

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第八巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『ケプロン・黒田の構想』について、桂浜、北国の春、金鱗湖、高度八十マイル、写真と暮らした三十年、寅彦の遺跡、南極・北極・熱帯の雪、百科事典美談、北海道開発に消えた八百億円、母性愛の蟹、娘の結婚、雪の化石2、六三制を活かす道、ピーター・パン。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,890 字 · 178 页

青空文庫

写真と暮らした三十年

焔を撮る苦心

焔を撮る苦心

物理の実験に、写真が広く応用されることは、周知のとおりである。とくに私の研究の場合は、ほとんど写真を用いた研究であって、考えてみると、もう三十年間も、写真とともに暮していたことになる。

初めて研究と名のつくものに手をつけたのは、大学三年生の時であった。現在日立の中央研究所におられる湯本博士が、当時大学院の学生として、寺田寅彦先生の下で、水素の爆発の実験をしておられた。私が三年になって、寺田先生の指導で、卒業実験をすることになった時に、先生から、湯本さんのこの実験の手伝いをすることを命ぜられた。

この実験で、初めて写真を研究に使うことを覚えた。大正十三年のことであるから、今から数えて、三十三年昔の話である。それ以来、英独留学中の二年間を除いては、ずっと写真を使う研究をしていたので、文字どおりに「写真と暮した三十年」なのである。

水素の爆発といっても、空気中または酸素中に、少量の水素がはいった場合の爆発の研究であって、燃焼といった方がよい程度のものであった。危険はないので、細長いガラスのU字管に一〇ないし一五パーセントの水素と酸素との混合気体を入れて、上端から火花で火をつける。