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『ケプロン・くろだのこうそう』について

中谷宇吉郎集 第八巻

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第八巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『ケプロン・黒田の構想』について、桂浜、北国の春、金鱗湖、高度八十マイル、写真と暮らした三十年、寅彦の遺跡、南極・北極・熱帯の雪、百科事典美談、北海道開発に消えた八百億円、母性愛の蟹、娘の結婚、雪の化石2、六三制を活かす道、ピーター・パン。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,890 字 · 178 页

青空文庫

説に導かれたのである。その分布曲線を一本つくるだけに、五百枚以上もの写真を撮った。

気体を変え、電気的条件を変えると、いろいろな意外な現象が出て来た。酸素の中では、火花は角立って曲らず、うねうねと妙に波打った形になる。正電極直前の電場を少し弱めると、風で吹き流される火花が出来る。

いろいろやっているうちに、これらの複雑な現象の全部が、一つの仮説を立てると、巧く説明されることに気がついた。

それは火花が飛ぶ直前に、ある種の前放電があるという仮定である。この前放電の形、およびそれと本当の火花との間の時間間隔が、気体の種類により、また場合によって、いろいろにちがうとすると、全部の現象が説明されるのである。

それで厚いX線フイルムを円形に切り、中心を高速モーターの軸に直結させて、一万回転近くで回し、その上に火花の写真を撮ることを試みた。これだと十万分の一秒くらいまで解析が出来る。今日のような高速度カメラなど、夢にも考えられなかったころの話である。

しかしこれでも前放電らしいものが、ちっとも写らない。大いに失望したわけであるが、そのうちに気がついたのは、前放電があっても、紫外線が主だったら、ガラスのレンズでは写らないということであった。