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『ケプロン・くろだのこうそう』について
中谷宇吉郎集 第八巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第八巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『ケプロン・黒田の構想』について、桂浜、北国の春、金鱗湖、高度八十マイル、写真と暮らした三十年、寅彦の遺跡、南極・北極・熱帯の雪、百科事典美談、北海道開発に消えた八百億円、母性愛の蟹、娘の結婚、雪の化石2、六三制を活かす道、ピーター・パン。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,890 字 · 178 页
若人よ大志を抱け
ケプロン以後、日本の政府は北海道の開発に、ずっと金を注ぎ込んできた。しかし、その様式は、次第にくずれてきて、政治色が濃くなるにつれて、業績は次第にあがらなくなった。とくに戦後に実施された北海道開発第一次五カ年計画は、昭和二十六年(一九五一年)からはじめられ、昭和三十一年三月に完了された。しかし、その成績は惨澹たるものであって、日本一流の有識者を集めた委員会から、きびしい批判を受けた。この委員会は、第二次五カ年計画についてリコメンデーションを出したが、その冒頭において、「この勧告の全貌を最も簡単にいえば、“ケプロン・黒田の構想にもどれ”の一言につきる」といっている。八十年の昔に、北海道をひらいた人々は、非常に偉かったのである。
若人よ大志を抱け
ケプロンのまいた種が、もっとも実を結んだのは、現在の北海道大学である。彼の献策によってつくられた開拓使仮学校は、四年後の明治八年(一八七五年)に本来の目的地である札幌へ移転した。そして「札幌農学校」となった。この札幌農学校に、生命を吹き込んだのは、いま一人のアメリカ人クラーク博士であった。
いよいよ札幌移転が実現して、札幌農学校はできたが、新しい農法や、開拓に必要な新知識を教え得る教授はいない。