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『ケプロン・くろだのこうそう』について
中谷宇吉郎集 第八巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第八巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『ケプロン・黒田の構想』について、桂浜、北国の春、金鱗湖、高度八十マイル、写真と暮らした三十年、寅彦の遺跡、南極・北極・熱帯の雪、百科事典美談、北海道開発に消えた八百億円、母性愛の蟹、娘の結婚、雪の化石2、六三制を活かす道、ピーター・パン。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,890 字 · 178 页
彼の目的はこの東洋の一僻地において、自由と独立と大志とを目ざした新しい人間教育をする大学をつくり上げる点にあった。開校式の席上で、「長い間暗雲のように東洋国民の頭上をおおっていた、階級制度や因習の暴君の束縛から、国民を自由にした驚くべき解放は、これより本校で教育を受けようとしている学生諸君の胸中に、おのずと高遠なる大志(ロフティ・アンビション)を喚起するであろうことを信じて疑いません」と、彼は演説した。
彼は在任わずか九カ月、明治十年(一八七七年)の四月に札幌をはなれ、米国へ帰った。馬に乗って帰途についたクラーク博士を、生徒たちは十五マイルついて行った。そして、いよいよ別れるときに、彼はボーイズ・ビー・アンビシァス Boys be ambitious(若人よ、大志を抱け)と一言いい残して、一人で草原のかなたに消えて行った。
開拓に必要なものは、土地を含めた意味での資源と、人間とである。
黒田長官のような強大な推進力をもった人に、ケプロンとクラークとが加わったという点において、北海道の開拓は、非常に幸運な出発をしたのである。