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『ケプロン・くろだのこうそう』について
中谷宇吉郎集 第八巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第八巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『ケプロン・黒田の構想』について、桂浜、北国の春、金鱗湖、高度八十マイル、写真と暮らした三十年、寅彦の遺跡、南極・北極・熱帯の雪、百科事典美談、北海道開発に消えた八百億円、母性愛の蟹、娘の結婚、雪の化石2、六三制を活かす道、ピーター・パン。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,890 字 · 178 页
この付近一帯のマリコパ郡は、開発前は、全くの沙漠で、ほとんど税収がなかった。ところが一九四七年には、この郡からだけの国税収入が、六千六百万ドルに達した。政府は初め二千万ドルの投資をしたが、この間にそのうちの千四百万ドルは既に国庫へ償還された。それで政府としては、二千万ドルの投資をして、大半を返済して貰い、その上毎年六千万ドルの税金が上がるのであるから、これほど有利な事業はない。アメリカの税率は大金持を除き、一般庶民には、日本などと較べものにならないくらい安い。大体三分の一と思ってよい。税率が低くて、税収の総額が大きくなったのであるから、個人の収入も非常に多くなったわけである。この資料のもとである開発局の小冊子は、最後を「このように、開発事業は最も有利な投資である」と結んでいる。
アメリカと日本とでは、立地条件がちがうので、何も、アメリカのやり方を真似る必要はない。しかし国民の税金を使う以上、国民全体の利益になるようにしなければならない、という考え方は真似た方がよい。ソールト・リヴァー計画の全経費と同額の金を、五カ年間つづけて北海道へ入れて、その最終年度の冬には、北海道の農民の一部は、明日の食糧にもこと欠いている。