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『ケプロン・くろだのこうそう』について
中谷宇吉郎集 第八巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第八巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:『ケプロン・黒田の構想』について、桂浜、北国の春、金鱗湖、高度八十マイル、写真と暮らした三十年、寅彦の遺跡、南極・北極・熱帯の雪、百科事典美談、北海道開発に消えた八百億円、母性愛の蟹、娘の結婚、雪の化石2、六三制を活かす道、ピーター・パン。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 85,890 字 · 178 页
理念の中で、従来あまり気がついていなかった根本問題が、真っ先にとりあげられている。それは「北海道の資源を内地に運んできて使う方がよいか、現地で使う方がよいか」という問題である。北海道としては、もちろん北海道で工業を起こし、北海道の資源を道内で使う方を望むにちがいない。しかし北海道が日本の経済に最も有効に寄与する、という建前からは、どっちがよいか研究してみる必要がある。内地へ原料を送った方が、北海道でその原料を使ってやるよりも、ものが安くできれば、内地でつくるべきである。安くできるということは、物資と勢力と労働力とが少なくてすむことである。日本全体から見たら、その方が得である。
ところで従来は、北海道の資源を内地へ送って、内地の工業を養っていたが、それはその方が経済的だったからである。その原因の一つに国鉄の奇妙な運賃政策がある。現在、北海道の石炭とか木材とかいう物資の運賃は、非常に安く、コスト割れの値段になっている。すなわち運べば運ぶほど、国鉄が損をするのである。その分はけっきょく旅客の負担になる。そしてこの運賃政策が、内地の工業を援け、北海道がいつまでも植民地的存在になっている一つの原因である。