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ちちをさす
乳を刺す
邦枝 完二
黒門町伝七捕物帳
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,474 字 · 35 页
留五郎の前へすわらされた常吉は、お春、小僧達の云ったことを聞かされて、悄然と頭を垂れたが、追い打ちを掛けるように、留五郎に云われた言葉には、決然として顔を挙げた。
「今朝、お嬢さんのことを知りましてから、何か手掛かりはないかと探して居りましたら、裏の木戸のかんぬきの外れているのに、気がついたのでございます」
「えッ、かんぬきが?……」
源兵衛が横合から叫んだ。留五郎は、その様子を冷ややかに見たが、急に眼を光らせたのは伝七だった。
「では旦那。そいつは、いつもかかっていたんですね」
「左様でございます。暮れ六つになりますと、必ずかけることになって居りまして、昨夕方も、わたくしが見回りまして、確かに見届けているのでございます」
「じゃア兄貴は?……」
不服そうに留五郎は、伝七を見た。
「外から這入って来た奴が、あると云いなさるのか」
「さあてな。あるとは云わねえ。だが、無いとも云えねえ。それを調べてみなくちゃ、ならねえと思うだけよ」
「はははは。この野郎が、おのれにかかった疑いを、ごま化すためにそんなことを云い出したんだ。やい常吉」
留五郎の声に、常吉はビクリと肩をふるわした。