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ちちをさす

乳を刺す

邦枝 完二

黒門町伝七捕物帳

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,474 字 · 35 页

青空文庫

「………」

「よし。もうきくことアねえ。これから、お奉行所へしょっ引いて行って、砂をかましてやるから覚悟しろ。お奉行様は、泣く子も黙る遠山左衛門尉様だ。ひとたまりもあるもんじゃねえ。――おお旦那、野郎の部屋にある刃物を、持って来ておくんなせえ」

そう云うと留五郎は、いきなり常吉にナワをうった。

「へ、へい……」

源兵衛が、よろめきながら出て行くのを見て、留五郎は体を揺すって笑った。

「伝七兄貴。どうやら片付いたようだ。さア一しょに引き揚げよう」

「いや、折角だが、おいらは残ろう。おめえは気の済むまで、そいつを調べるがいい」

「じゃ何か。お前さんはまだ、外から入った奴の仕業だと、にらんでるんだな」

「そりア判らねえ。だが北町の。おいらアどうもまだ、調べ残しがあるように思われるんだ。おいらは、得心のいくまで調べねえと、飯がうまくねえ性分だ。ちっとも遠慮することアねえから、おめえは、先へ引き揚げてくんねえ。なアに、夕方までにゃ帰って、おめえンとこの、仏様に聞いてもらうよ」

色もみじ

常吉の縄尻をとって、留五郎と岩吉が揚々と引き揚げて行った後は、度を失った一同が、恐る恐る上眼遣いに、伝七をぬすみ見るばかりであった。