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ふたつのいえをつなぐかいそう
二つの家を繋ぐ回想
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,480 字 · 37 页
今仕なければ余り寒くなる。それに来年の四月は(一九二三年)丁度父母の銀婚式にも当るので、その祝いをしたい時、つまらない気兼ねをするようではよくないと云うこともあったのであろう。急に紅葉館で親類だけを招くことになった。
その事が定って間もなく、或朝、自分が未だ眠って居る時分、祖母自身、歩いて片町迄来られた。
何事かと思って会うと、彼女は、祝いの記念に、何か私の欲しいものを作って遣りたい。裾模様の着物がよかろうと思って相談に来た、と云われるのである。
私は、彼女の好意に感謝した。然し、折角記念に拵えていただくのに着物では一向つまらない。
「それじゃあ、私の欲しいと思って居た勉強机を買って戴こうかしら。裾模様のお金を出せば一つ位余分な卓子まで出来るわ。私はその方がいいな」
と云った。
「そりゃあ、お前の欲しいものなら、どっちでもいいが。阿母さんも、裾模様がよかろうと云って居たから、……一遍相談したらよかろう」
「そうね」
「そうするもんだ。親の家へも行かないってことがあるんでねえ」
祖母は、国言葉を出し、今にも手を引いて立ちそうな顔をした。
「今日行くの?」
「そうよ!」