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ふたつのいえをつなぐかいそう
二つの家を繋ぐ回想
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,480 字 · 37 页
それも、病気を苦にして、休みたかったのだったそうだが、今度は、愈々腹膜になって、ひどい苦しみようだと云うのである。
朝から様子を見に行って居たとりが
「奥様、もう駄目でございますのよ!」
と云い乍ら、顔をかえて水口から入って来た時、自分は、ぎょっとした。
彼女の息子二人は、結核で死んで居る。又、今度も! と云う感じが、忽ち矢のように心を走ったのである。
生きるか死ぬか、母娘諸共と云うような場合、此方の困ることを云っては居られない。
父の上京のことも思い合わせたが、自分等は、さっぱり彼女に暇をやった。
一方には、漠然と、瞬間を利用した形跡がないでもない。Aは、先頃から彼女の、神経を疲らす甲高声と、子供扱いとに、飽きが来て居た。何処か性に合わない処もあるらしい。やめたいとは、前から云って居たことだが、此方から来ないかと云って来させ、もう帰れとは云えない。それが、此、刹那にすっかり位置が変り、相方の希望が一つの形に於て満されると云うことになったのではないだろうか。
後の代りがないことは、少くとも、自分には判り過る程解って居た。が、いざと云う時にはどうか成ろう。