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ふたつのいえをつなぐかいそう
二つの家を繋ぐ回想
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,480 字 · 37 页
正直に云うと此事より、自分にとっては、深い心懸りが他に一つあった。それは、林町と我々、寧ろAと母との間に不調和があり、去年の九月から、彼は、林町へ来ることを止められて居ると云うことなのである。
老人に、云うべきことではない。彼が来れば勿論、林町へ挨拶に行こうと云われるだろう。Aの行かないのは変だ。
彼の来られる前、何とか今の状態を換えることは出来ないだろうか。
云わずとも、Aは勿論其事を思って居る。
其為にも、又、老人の上京等と云うことを抜きにして考えても、彼と母との間が、あまり長い間、左様な有様で居るのは、不自然すぎる話である。何とか理解し合う機会にもと、Aは、二月の十一日から十三日迄、私の誕生日をよい折に、二人を晩餐に招こうとした。一月の中旬から考を定め、二人の気にさわらないようにフォーマルなインビテーションを書き、都合を問ねて置いたのである。
けれども、何にしろ父上は、いそがしい。その一日か二日前にならなければ、はっきりした返事は出来ないと云う有様である。母上も、はっきりしない。私を呼び、切角云って来たのを、断るのも余りひどいからと、お父様もたって仰云るから、まあ行こうと思っては居るが、と云う程度である。