轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ふたつのにわ

二つの庭

宮本 百合子

「中央公論」1947(昭和22)年1、3~9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,492 字 · 389 页

青空文庫

蕗子は、口元をほころばして伸子を見た。伸子はその蕗子の顔をじっと見かえしていたが、

「お金をやったとか、やらなかったとかいうだけで結着してやしないでしょう?」

視線を蕗子の上にすえた。

「それゃそうさ」

「まして、ぶこの武勇伝なんかじゃありゃしない」

「…………」

伸子には全くどういい現わしていいかわからないいやな後味があった。

そういう伸子の状態を、素子は、神経にこたえた結果と解釈して、気まぎらしに動坂へでも行ってくればいいとすすめるのであった。

月曜になってから、伸子は、八重洲町にある泰造の事務所へ電話して、昼すこし前に出かけて行った。イギリス風の料理ずきな連中が援助してその頃開業した小じんまりした店があった。そこでお昼をたべよう、ということであった。

行ってみると、泰造はまだ机からはなれられないで、伸子は事務所に通された。いろいろな大理石の見本だの蝶番だのの見本がつみ重ねてあるわきに、高いファイル棚があり、泰造はテーブルの上に青写真をひろげて調べていた。その日はモーニングを着ていて、眼鏡のはしのところを左手の指でつまむような手つきをして青写真をのぞきこんでいる。