轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ふたつのにわ
二つの庭
宮本 百合子
「中央公論」1947(昭和22)年1、3~9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,492 字 · 389 页
「あら、伸ちゃん!」
小枝が来年女学校を卒業する、すらりとした姿で立ち上った。
「しばらく!」
「やあ、来たの!」
和一郎も制服をきていた。松浦が、もちまえの几帳面な挨拶をした。
これは、月曜日の午後として、伸子の想像していない客間の光景であった。あけ放された出窓から、飾られている大理石の彫刻のわきまで枝をさし入れそうにしげっている楓の若葉照りをうしろにして、小枝の血色と純白のブルーズとは生気にみちて美しい。小枝が生気にみちた少女であるだけ若い人々の間には自然の雰囲気がかもされていて、ふいと、その中に入ってしまった伸子は場ちがいな姉として自分を感じた。
「冬ちゃんどうしているかしら……」
泰造の妹に当る母が亡くなってから、小枝の姉になる冬子が母がわりとなって家の主婦役をしていた。おなじ従妹でも伸子は年の近い冬子の方によけい親しくて、佃との紛糾に耐えがたくなった頃、冬子が療養生活をしていた鎌倉の家のそばに、二間ばかりの家を見つけて貰ってしばらく暮したりしたこともあった。小枝は行儀よく、
「あいかわらず」
と答え、思いがけず伸子に会ったのをきまりわるそうに、和一郎に視線を向けた。