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ふたつのにわ

二つの庭

宮本 百合子

「中央公論」1947(昭和22)年1、3~9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,492 字 · 389 页

青空文庫

伸子は、おかしがって、

「どうです?」

ときいた。

「あらたかでしょう? よその占いなんか、とても足もとへもよれないでしょう」

「いや、全くこれはいいところを当てたですよ!」

木下の言葉の真剣さに伸子はびっくりした。占いなんかをしてみる人の心もちにたいして、最大公約数のような、こんな常識が何か真面目な作用もするというのだろうか。伸子は、思いもかけないという顔になった。そして、

「なにが当ったの?」

ときいた。

「なにがって――ちょっと云いにくいが、ともかくね。いや、ありがとう。大いに得るところがある」

ほんとうに、そうであるらしかった。この鼠色背広のひとには、ちょいとしたなにかのきっかけが入用だったのにちがいない。伸子はそう判断した。

「わたしの運勢はこれですけれど……元日にやったんだから、たしかよ。素晴らしいでしょう」

それは、43という番号だった。勲章をつけて、からのおはちをかきまわす図。そう題があって、その題のとおりの絵がかかれていた。髭をつけ、鳥の飾毛のついた礼帽をかぶった大礼服の男が、板の間に膝をついておはちをかきまわしている。そのおはちの、こちらに見えている内部はからっぽで、一粒の米もなかった。