轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ふたつのにわ

二つの庭

宮本 百合子

「中央公論」1947(昭和22)年1、3~9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,492 字 · 389 页

青空文庫

そう云って、その頃佃のうちに女中としていたみつが、佃が病気で鎌倉へ行った先までついて行って世話していたことを話した。そのときの伸子には、せめて、みつがそうしてくれてよかったという感情しかなかった。それから、伸子がまた決心をぐらつかせてしばらく佃と暮すようになったとき、みつは、どうもからだがわるいからといって、青塗りのバルコニーのあるあの氷屋の二階がりをして、そこへ移った。いくらうちで養生するようにといっても、みつはそれをことわって、氷問屋の二階へ行った。

二三日たってある午後、伸子はそこへみつを見舞に行った。みつは、友達と二人でかりている、意外にひろい、和洋折衷の室の真中に床をとってねていた。伸子が、ドアをあけて、三尺ばかりの下駄ぬぎに立ったとき、みつは、

「だあれ」

と割合元気な声でききながら、枕の上から頭をもたげた。そして自分のかけぶとんのふくらがりごしに、立っている伸子を認めると、

「アラ……」

伸子が、自分のほかになにかいるのかとおどろいてうしろを見かえったほど、びっくりした声をあげて頭を枕の上におとした。

「入ってもいい?」

返事がないのでそのままそっと入って床のわきへゆくと、みつは、すっぽり頭からかけぶとんをかぶってしまった。